カスタマーサクセスは『激務』『辛い』『大変』なんて言われていますが、実際のところどうなんでしょうか?「顧客の成功を支援する仕事」と簡単に説明されますが、実際のところ、どんな仕事なのでしょうか?ベンチャー企業で5年ほどカスタマーサクセス部署を経験した私が感じたことをせっかくなので共有したいと思います。綺麗事は言いませんので、一定参考になるはずです。
目次
いきなり結論
とりあえずカスタマーサクセスについて僕が思った結論だけ。
▶︎やりたいことがないならカスタマーサクセスの経験をしとくのはあり
▶︎ただしサポート兼任はやめとけ
▶︎入るなら小規模で、カスタマーサクセスに前向きな会社
▶︎カスタマーサクセスの本は読まなくていい、読むならマーケティングとかの方がよほどいい
▶︎セミナーは行かなくていい
▶︎やるなら愚直に頑張れ
詳しくみていきましょう。
カスタマーサクセスの内情
規模や社長の考え方で大きく変わる
こればかりは本当にその会社やサービスによります。偏にカスタマーサクセスといってもサポート兼任や、営業とエンジニアの間で浮いた仕事を全てやるのがカスタマーサクセスなんて位置付けであることもザラです。そういったフェーズは確かに大変ですが、会社自体がカスタマーサクセスに前向きな場合は後々非常に良い経験となります。
一方で営業部署が強く、カスタマーサクセスをコストセンターとして認識されているような会社の場合はただ忙しいだけの時間を過ごすことになります。
ある程度の規模のCSに入ると、正直そこまで忙しくはないでしょう。データやフローも整いだしているので、仕事のしやすさはありますが、そこまで基盤が整った会社は多くないので、その次に転職をする場合にはあなたのパフォーマンスの再現性は低くなります。自分がどんなキャリアを歩みたいのか、どんなスキルをつけたいかによりますので、まずはそこを整理する必要があります。
どんな会社に入るのがオススメ?
がっつりスキルつけたい!人の場合
もしあなたががっつりスキルをつけたいと考えているのなら、カスタマーサクセスに前向きな会社かつ、10人くらいまでの小規模でカスタマーサクセスを行なっている会社に入りましょう。入社直後には何も整っていなすぎて悲しくなるでしょうが、そのフェーズは会社は一度しか通ることができないので2度と経験できません。そんな荒野を歩いた経験は、後々あなたの市場価値を高めてくれるでしょう。
何より0→1フェーズではとにかく考える力が求められます。すごく苦しい時間を過ごすことになりますが、サービスの根幹に触れながら0→1をやった人とそうでない人では数年後に視野の広さが大きく異なります。
また、良くも悪くも裁量が大きかったり、大きな企業だったら見られないような情報にもあっさり触れることができます。小さい会社に入ることで、ビジネスが成立していくまでの一端を眼の前で見ることができるのも非常に大きな経験となるでしょう。
そこそこでやっていきたい!人の場合
「正直そこまでガツガツ働きたくないんだよね・・」そんな人もいるでしょう。私も歳を重ねるにつれて、がむしゃらに仕事をすることは全く美徳ではないと感じてきています。笑
そんな人なら数十人規模でツールなどが整った会社に入りましょう。この業界はカスタマーサクセス経験者というだけで転職時には一目置かれますし、あなたが業界用語を織り交ぜることができ、そこそこ話の上手い人なら、面接官からするとどの程度の実力者かは判断がつきません。というか、実際に働いてみないとわからない能力が多いのです。まずはなるべく規模の大きい未経験可の会社に入り込み、経験者を名乗れる期間カスタマーサクセスに従事することを優先しましょう。
カスタマーサクセスは辛い?
サポート(コールセンター)兼任の会社の場合はかなりの業務量になるので、辛いことが多そうです。お客さんを待たせるわけにはいきませんので、どうしてもサポートが優先になりがちになりますので、自分の業務は滞りやすくなります。しかし、ベンチャー企業では能動的な行動や目に見える成果が喜ばれるので、社内では微妙な評価になることが常ですので、サポート兼任パターンは個人的にはあまりお勧めできません。
サクセス部署の中でもチームがいくつかに分かれている場合は、業務整理がすこしずつ進んでいる状態でしょうから、いくらかマシな状態である可能性が高いのでそういう会社を選ぶようにしましょう。
カスタマーサクセスの経験は転職の際などにいきる?
ビジネスサイドの人間の経験って、営業職以外は言葉にならない曖昧なものが多いじゃないですか。どんなに仕事ができる人でも、転職時にそのすごさを一目で伝えるのって役職や会社名以外では難しいし、名前にならない職種?仕事?が非常に多いですよね。
そういった意味でカスタマーサクセスは、ビジネスサイドで珍しくちゃんと名前のつく職種です。
転職サイトで、「自分の職種って何になるんだろう・・」そう悩んだことのある人は多いと思いますが、カスタマーサクセスを一度経験しておくと、もう職種欄で悩むことはなくなりますね笑
また、saasのサービスが増えて続けているこの社会の流れにおいて「解約させない」「定着させる」ことのできるカスタマーサクセスという経験の需要は増えていくので、カスタマーサクセスを経験することは大きなプラスになるはずです。
カスタマーサクセスの本は読んだ方がいい?
こんなのとか
こんなのとか
こんなのとか
カスタマーサクセスってとにかく本が多いですよね。結果からいうと、1冊くらい読んどきゃいいです。
これらの多くは専門用語をまくしたてて、読みにくくしていますが、書いてあることは非常にシンプルです。専門用語に慣れるという意味で、一冊読んどきゃいいんじゃないでしょうか。
必死こいてこれらの本を読むくらいなら、自分たちが提供してるサービスや顧客を知ることに時間をかけた方が圧倒的に業務の役にたつと思います。また、本当に業務に役立てるという意味なら、マーケティング、営業、心理学なんかの本を読んだ方がよほどためになります。
また、↓は解約を阻止するためのマーケティングの本なのですが、WOWOWの具体的な失敗と、施策に起こすまでの動きが細かく載っており、個人的に非常に参考になった本です。また、この本から無料で顧客を引き付ける施策だけはやってはいけないんだ、と学びました笑
カスタマーサクセスのセミナーには参加した方がいい?
一回くらいはどんなもんかいってみりゃあいいと思います。セミナーって自分たちがたまたま行き着いた場所をあたかも、そこを目指して歩いてきたかのようにデフォルメして表層だけを拾って話すんですね。自分に酔いながら、あたかも凄そうに。実際は行き当たりばったりなことが多いし、本当の肝はそんな表層ではなくて、それを構成する根底にあります。表層だけを拾って、なんか凄そうだからって真似たりするとちんぷんかんぷんな施策になったりしますのでご注意を。
余談ですが。カスタマーサクセス界隈で有名な方がいてコンサルやセミナーなんかをよくやってらっしゃるんですね。その人の元同僚に話を聞いたら、「社内ではどちらかというとパッとしない方だったから今の感じに驚いた」とおっしゃってました。ですので「そんなもんだ」と思いながら、聞くくらいがちょうどいいんじゃないかな?と思うんですね。
なんかカスタマーサクセス界隈の人キラキラ系多くないですか?
スタートアップやベンチャー企業のエンジニアというと、あたかも時代の先駆者のような顔をして、話している人も多いですよね。個人的な感覚としては、他の職種よりはキラキラ系が多いように思います。
しかし、実際に動かしているのは、愚直な人です。表に出てくる人は、社内でそこまでバリューを発揮してないけど、スライドを作って話すことがうまいっていう能力の人だったりします。なぜ、そのようなことが起こるのでしょうか。それは、スタートアップやベンチャー企業が、常に新しいものを生み出そうとしているからです。そのためには、常に新しいアイデアを生み出し、それを実現するためのプロトタイプを作り、検証し、改善していく必要があります。
このプロセスでは、常にリスクを伴います。アイデアがうまくいかなかったり、プロトタイプがうまくいかなかったり、検証で問題が見つかったりと、常に失敗の可能性と隣り合わせです。そんな中で、失敗を恐れずに、前向きに取り組むことができるのは、愚直な人です。彼らは、失敗を恐れずに、地道に努力を積み重ねていきます。
一方、表に出てくるような人は、失敗を恐れすぎて、新しいことに挑戦することができません。そのため、彼らは、既存のアイデアをスライドにまとめて、キラキラした言葉で語ることで、自分たちの価値をアピールしようとします。
もちろん、表に出てくるような人も、それなりの能力を持っているでしょう。しかし、彼らが本当に活躍できるのは、リスクの少ない環境です。スタートアップやベンチャー企業で働きたいのであれば、表に出てくるような人ではなく、愚直に努力を積み重ねることができる人であることが重要です。
そして、面接では、会社全体がそういうキラキラ系の空気感ではないかだけは注意してみておくといいと思います。実際には、地味なことでしか前進しないということを理解した上で、それでもチャレンジしたいという気持ちがあれば、ぜひ挑戦してみてください。
まとめ
まとめです!
▶︎やりたいことがないならカスタマーサクセスの経験をしとくのはあり
▶︎ただしサポート兼任はやめとけ
▶︎入るなら小規模で、カスタマーサクセスに前向きな会社
▶︎カスタマーサクセスの本は読まなくていい、読むならマーケティングとかの方がよほどいい
▶︎セミナーは行かなくていい
▶︎やるなら愚直に頑張れ